お手元不如意ブログ

拙者、ブログ侍じゃ

人間は劣化しない

歯医者の待合室に置いてある週刊誌の見出しにこんなのがあった。

 

 

 

 

 

ヤバすぎ!劣化した芸能人特集!

 

 

 

 

 

 

相変わらずくだらないことやってるなあ

 

 

と思いつつもあまりに暇だったのでその本を手に取ってしまった。

 

 

 

 

すると、

 

 

 

 

 

 

僕の大好きな女優が劣化した芸能人として特集されていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その女優は昔からずっと可愛いし、なんなら最近かわいさがブーストしてるくらいだ。

 

 

 

 

 

確かにネット上では、歯並びが悪いとか、笑った顔が不細工、とか書かれるようになっていた。

 

 

だがそれはそんなこと書いている奴らの美的感覚が狂っているだけだ。

 

その女優の少し悪い歯並びはかわいいし、笑った時のグチャってなる顔も愛らしい。ああ好きだ。

 

 

 

 

ネット上の心無いコメントに彼女が傷ついたらと思うといてもたってもいられなくなって、私は待合室でノートパソコンを広げてこの記事を書き始めた。

 

 

 

この記事をもし彼女が見てくれたら少しでも救われるんじゃないか、と思ってひたすらキーボードを叩き続けた。

 

 

 

すると隣からクスクスという笑い声が聞こえた。

 

 

 

 

「すごくステキな記事ですね。でもあなた、少し変わってますよ。」

 

 

 

 

帽子を深くかぶってマスクをした怪しげな女性が話しかけてきた。

 

顔のほとんどが隠れているがなんとなく美人なのは伝わってくる。

 

僕は、やにわに話しかけてきたことと画面を覗かれていたことに戸惑っていたが、

続けてその女性はこう言った。

 

「人間は劣化すると思いますか」

 

 

 

変な質問するなあとは思ったが

僕はなぜか熱くなってこう答えた

 

 

 

「人間は劣化なんてしません!!!

 

歳を取って変わっていくものだとは、、、思います、、が、それは当たり前のことです!

 

劣化なんて言葉を人に向けて使うのは間違ってます!

 

劣化って言葉は、、、その、、、金属とか、、、コンクリートに使うもんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると女性はまたクスクス笑った。

 

 

 

 

 

「ありがとう。矯正の予約してたけどどうでもよくなってきちゃいました。」

 

 

 

 

 

その女性はマスクを軽く外して僕の目を見ながら歯を出してグチャっと笑った。

 

 

 

 

「これからも応援してくださいね。」

 

 

 

 

こう言って席を立つと、受付で予約を取り消して帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は呆然としていた。

 

 

順番がまわってきて自分の名字が呼ばれていることに気づかないくらいに。

 

 

 

 

さっき話していた女性は週刊誌に載っている女優だった。

 あの屈託のない笑顔と屈折のある歯並びは間違いない。

 この目で見たんだ。

 

 

 

 

一生応援します。。。

 

 

 

 

 

 

いつの間にか虫歯の痛みがひいていた。

僕も予約をキャンセルして一緒に帰ろうか なんて思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(注)この記事は童貞による妄想であり、フィクションです。